総合失調症

思春期から青年期に発症することが多いとされ、およそ100人に1人がかかるとされています。症状として、幻覚や妄想などの陽性症状と無為(なにもしないこと)・自閉(ひきこもること)となる陰性症状があります。本人だけでは、病気であるという自覚をなかなか持てませんので、周囲の方がお気づきになった時にはすぐに相談されることをお勧めします。近年では副作用の少ない薬やリハビリの進歩などにより長期安定が可能になってきました。早期発見、早期治療はもちろんのことですが、再発を防ぐために治療を継続していくことがとても重要な疾患です。

代表的な症状

1.妄想(陽性症状)

明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのこと。「自分は嫌がらせを受けている」といった被害妄想や、「テレビで自分の情報が流されている」といった関係妄想などが多くみられます。

2.幻覚(陽性症状)

最も多い症状として、誰もいないのに声が聞こえてくるという症状(幻聴)があります。幻聴には本人を批判したり命令したりする内容が多く、幻聴に聞き入ってニヤニヤしたり(空笑)、幻聴と対話してブツブツ言う(独語)場合もみられます。

3.まとまりのない発語(陽性症状)

考えや感情がまとまりにくいため、話していることの一貫性がなく会話が支離滅裂になることがあります。会話がかみ合わない、話が飛んでしまい内容を理解できない、というような場合があります。

4.ひどくまとまりのない行動

目的にあった行動をとることが困難になります。同じような動きを繰り返したり、同じような姿勢が続いたり、場にそぐわない行動などが見られます。

5.陰性症状

・意欲の低下

意欲が低下するため、入浴など生活の保持もままならない状態でゴロゴロと過ごしてしまう(無為)、他人と交流せずに無口で引きこもった生活になってしまう(自閉)といった症状がみられます。

・感情表現の低下

表情が乏しく硬い、感情表現が少なくなるといった症状がみられます。

(DSM-5より一部改変)

1~3の症状からひとつ以上認め、症状が複数存在し、一定期間ほとんどいつも継続する場合には統合失調症が疑われます。本人にとっては妄想や幻覚といった症状を否定されることは大きなストレスになります。それらの内容を否定することなく、病院で相談してみるように促し、早めの精神科への受診をすすめてください。