この度の熊本地震におきまして、甚大な被害がもたらされ、今なお混乱の渦中にあります。また、ご家族・ご親戚やご友人が被災され、安全を案じていらっしゃる方もおられるかと思います。被災された皆様のご無事を心よりお祈り申し上げますとともに、心よりお見舞い申し上げます。
被災された皆様と、直接は被災はしていない皆様とに向けたポイントをまとめましたので、ご覧ください。
被災された皆様へ
今回のような震災や災害が起きたときには、誰もが何かしらの影響を受けます。その感じ方、生じる反応や程度は、人それぞれです。以下の反応は、危機的な状況下で自分自身の心と身体を守ろうとするために、誰にでも起こりうる「正常な反応」です。その多くは時間の経過とともに、徐々に和らぎ、回復していきます。
◆危機状況下で起こる 正常な反応の例
- 食欲がない、食べたくない
- 眠れない、頭痛、腹痛
- 音や揺れへの過敏になる、いらいらする
- 疲れがとれない
- 下痢や便秘といったお通じの変化
- 動悸、汗をよくかく、手足の冷え
- 衝撃的な場面を思いだす
- 思考や行動がとまる
- さまざまなものに実感がない
- ぼーっとする
- 物覚えが悪くなる、集中できない
◆被災した 子ども に起こる反応と対応の例
- 赤ちゃん返りをする・甘えが強くなる
- わがままを言う、ぐずぐず言う
- 反抗的になる、乱暴になる。
- 災害体験を遊びとして繰り返す
これらの反応も「正常な反応」の1つです。
周囲の大人が落ち着いて受け止めることで、ほとんどの場合は時間と共に回復していきます。
対応のポイント
- 一緒にいる時間を増やしましょう
- 子どもが話すことを、否定せずに聞いてあげましょう。
ただし、話したがらないときには無理に聞き出さないようにしましょう - 抱きしめるなど、スキンシップの機会を増やしましょう
- 災害体験を遊びとして繰り返すことは、本人が落ち着いていてくプロセスです。無理に止めないようにしましょう
◆自分を守るために役に立つこと
①休息・睡眠・栄養
・余震が続く状況のなか、充分な休息や睡眠をとることは難しいかもしれません。被災直後の不眠は、むしろ恐怖に対する記憶を定着させにくくする可能性があることが分かっていますので、眠れないこと自体を不安に思う必要はありません。ただし、いつも以上に疲れていることを自覚し、休息の時間も心がけてください。
・難しいこともありますが、可能な範囲で食事と水分を充分にとりましょう。
②声をかけ合う
・困っていることを家族や友人とお互いに率直に話し合いましょう。
・安心できる人と一緒に時間を過ごすのはとても大切なことです。とくにお子さんは、その体験から受けるショックが大人よりも大きいので、ご家族がゆっくりお子さんの気持ちを聴いてあげることは、とても大切です。
③運動・リラクセーション
・軽い運動は気分転換だけでなく、生活習慣病の悪化やエコノミークラス症候群の予防になります。手首や足首を回すなど簡単なことからやりましょう。
・腹式呼吸などの呼吸法はリラックス状態になる助けになります。おなかに手を当ててゆっくり息を吸い込んで吐き出しましょう。
・お酒やたばこ、カフェインの摂りすぎに十分注意しましょう。
直接は被災をしていない皆様へ
今回、直接は被災をしなかった方も、連日続く報道を見聞きしていると、以前体験した震災の記憶が思い出されて気持ちが動揺したり、もし自分も同じ状況になったら…と想像して不安になり眠れなくなるなど、心身への影響が出るということが珍しくありません。被災していない地域の方々が今どのような心構えで生活をしたら良いかについてのポイントをお伝えします。
Q1. 震災の状況が気になるので、テレビのニュースやSNSをずっと見続けてしまいます
情報収集をすることや、被災した方々の痛みに思いを馳せるのはとても大切なことです。
しかし、災害の衝撃的な映像、被災した方々の心情がありありと想像できるような報道やSNSにさらされ続けると、自覚している以上のストレスを受けている場合があります。
特に、震災前からメンタル面での不調を抱えている方、過去に災害で同じような体験をしたことがある方、お子さんなどは注意が必要です。
テレビやSNS・インターネットに触れる時間を決めて、時間が来たらテレビやスマホ・PCを消すなど、メディアから適度に距離を置いて心身の負担を減らすことを心がけましょう。
Q2. 子どもへの影響や対応について知りたいです
幼いお子さんがいる場合には、極力映像などを目にすることを避けてください。
震災については親子間で話題にし、子どもが恐怖心や不安感を抱いていないか耳を傾けてあげてください。
子どもは、起こった出来事をどうにか消化するために様々な質問を投げかけてくるかもしれません。
どんな質問でも、大人が答えてあげるやりとりそのものが子どもの安心につながります。
Q3. 自分も何かしなくては…と思うのですが難しく、無力感を感じてしまいます
現在も余震が続く現地において、公共・専門機関や企業などの団体が様々な方法で支援をしています。
個人として震災直後の時期にできることは限られているため、
この先、時間をかけてあなたにできる有効な支援方法を見つけていきましょう。
何かしらの支援ができるタイミングが訪れたときのために今はエネルギーを溜めておくというつもりで、
バランスの取れた食事を摂る・しっかりと睡眠をとるなど、日常の生活を過ごすことを大切にしましょう。
Q4. 被災地の大変さを思うと、自分が普通の生活を送っていることに後ろめたさを感じてしまいます
仕事や家事はこなせても、趣味や飲み会などの娯楽・余暇活動については、
「被災者は大変な思いをしているのに、申し訳ない」「不謹慎なのでは」
といった思いが湧いてきて行く気になれない、ということもあるかもしれません。
そんな風に感じている場合、無理に出かける必要はないですが、
いつも以上にストレス発散がしにくくなっているということに気づきましょう。
取り止めた活動の替わりに、好きな音楽を聴く・運動する・心が許せる相手と会話をしながら食事をするなど、リラックスの時間を意識的に確保してみてください。
Q5. もし自分の住んでいる地域が被災したら…、という想像が頭から離れず、不安になります
数年間でこれだけの大規模な災害が相次ぐと、このような緊張感を抱くのはごく当然の心理といえます。
災害への不安とどう付き合っていくかは、この土地で暮らす私達一人ひとりの問題です。
どのような備えをしていても完全ということはあり得ませんし、
逆に言えばどれだけ思い詰めても絶対の安全が得られることはありません。
不安な気持ちは、1人で抱えこんでしまうことにより、必要以上に大きくなるものです。
この機会に、改めて家庭や職場で災害が起きたときの対応について話し合ってみるなど、
現実的な対策・行動に焦点を当てたコミュニケーションをとることも大切です。
それでも気持ちが落ち着かず、日常生活に支障が出るようであれば、専門家に相談しましょう。

